アシュラ (上)(下)
- 作者: ジョージ秋山
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/02
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内容の過激さから出版停止になった問題作が再出版になったとか。
興味本位で見てみると、初っ端から妊婦人肉食ってるわ、産んで飢えたら赤ん坊焼いて食おうとするわ、でなるほどの内容ですね。
でも内容は結構深くて、一貫しているのは人間に対する絶望でしょうか。裏返すと人間愛がテーマなのかも。
飢えれば人間は獣になってしまう。でも、その後人間ゆえに苦悩する。
親に食われかけた赤ん坊アシュラが野の獣同様に生きていくわけです。でも、長じるに従い人と交わり、言葉を覚えて自分の不幸さを認識してしまう。生まれてこなければ良かったと嘆く。
とにかく、誰も彼もが救われないストーリーです。救いは最後の最後にアシュラの人間らしさが垣間見れたということぐらいでしょうか。
今の社会でも、全世界的な経済競争で追い詰められた日本が、競争社会の名の元強い者は弱い者から搾取して生き抜いていこうとしているのと構図は同じですね。
私が小泉自民党を(消極的に)支持するのも、だったらこの先どうやって生きていけば良いのか?という問いに対して答えられる政治家ないし党が他にないからです。
でも、人肉を食ってまで生きていかなければならないのは哀れです。後世の日本国民がアシュラのように生まれてこなければ良かったと嘆くことがないように願います。